シバタ分会のたたかい
 3月11日16時30分頃、渡部総務部長が全従業員に集合を掛けました。「何の話ですか?」と質問しても「いやちょっと」と言うばかり。17時10分頃本社3階に全従業員が集合すると2月15日付けで辞めたはずの会社役員(平岡、三宅)の姿もありました。

 そこで社長から「今まで頑張ってきたけど売上げ不振や労使問題があり申し訳ないけど破産します。17時30分までに私物をまとめて会社から出て行って欲しい」と発言。

 パート従業員の中には泣き出す人も。そんな中、瀬戸経理部長(社長の妻)、渡部総務部長から解雇通知書、離職票、解雇予告手当て明細が入った封筒が全従業員に手渡されました。

 安部副分会長が「そんな急に言われても困る。得意先や仕入れ先はどうするんですか?今裁判していることはどうするんですか?何で破産なんですか?団体交渉してください。」と要求しましたが社長は取り合わず「管財人が来るから17時30分までに私物を持って会社から出て行ってくれ!」と繰り返すばかり。
 
 組合員はすぐ全国一般や北河内地区協、解雇者へ連絡し社内に残る方針を固めました。
 
 17時30分には渡部、平岡、三宅を残して社長は出て行ってしまい、残った渡部が玄関に会社側弁護士名で書かれた告示書(社内の資産を無断で動かしてはいけない。窃盗罪に当たるとの内容)を貼り出しました。
 
 その後組合員以外の従業員は私物をまとめパラパラと会社から出て行き、表でウロウロしていました。
 
 組合員だけになった社内では平岡が「お前ら早く出て行ってくれや!わしもう知らんで!わしもう帰るで!」と連呼し三宅は困った様子で状況を見守るだけでした。
 
 そんな中、渡部が「会社の電気消すからな」と言い4階のブレーカーを落とそうとしましたが安部、上村、佐藤で制止させました。
 
 19時頃、府本部・竹添さんや石川分会長、奥山書記長、北口組合員が到着。渡部に「すぐに団体交渉を行え!それまで社内で待たせてもらう。社長を呼んできてくれ」と言いましたが進展無し。やがて弁護団や大阪労連、北河内地区協、府本執行委員などが続々と駆けつける中、22時頃には渡部も帰りました。弁護団と支援者35人で緊急会議が開かれ組合での自主再建に向けての方針が確認され、組合員は泊り込みの体制となりました。
取引先・家族・なかま あたたかい激励

 突然の「破産・全員解雇」の翌12日、朝から会社へは問い合わせや苦情の電話が休みなく掛かり組合員3人体制で電話対応していました。
 
 15時30分からは大阪労連民間部会の統一行動で宣伝カー17台がしばたに集結。その後、社内で行われた集会は100名を越す参加者となりしばた分会は大いに勇気付けられました。また、19時からしばた分会緊急決起集会を開催し72名もの参加をいただき大阪労連川辺議長はじめ、北河内地区協や守口労連、全国一般から激励の挨拶をいただきました。

 組合員からは「取引先からの電話は苦情は罵倒だと思っていたら皆さんから温かい激励の声をもらっている」「嫁に連絡したら家族は大丈夫だからと言われ勇気が出た」「団結力のある組合だと自負している、いっそう団結して頑張る」「無責任な社長は許せない、自主再建したい」などの決意表明がありました。
泊まりこみで団結強化

 3月11日から始まった泊まり込み体制。3時間おきに社長宅や倉庫、駐車場を巡回、「デイリーニュース」を毎日発行し、早朝は会社前の道路の清掃も行っています。14日からは自炊を開始。炊飯器の水量メモリまで米を入れたため炊飯途中に米があふれ出すというハプニングも苦しい闘いの中での楽しい時間。

 一方、毎日のパトロールで会社の様々な動きが明らかになりました。社用車の名義を2月に社長行きつけの焼肉屋の店主に変更していたこと、名義変更後も社長が乗り回していること、以前契約していた運送会社の人と偶然会い、元部長の北村・渡部らが会社近くで同じような商売を始めるとの情報を得て、調べると新事務所に以前しばたで使っていた時計や机、社長お気に入りの壺まで置いてあるのを発見。

 25日からパトロールのコースに追加され、31日には以前取り扱っていたものと思われる商品が入荷されていることを確認しました。
破産手続き開始 労働債権確保めざして

 (株)しばたと関連会社の(株)広洋、瀬戸社長は12日(金)夕方、大阪地裁に破産を申請、25日(金)17時に破産決定がおりました。
 
 26日11時30分、裁判所から執行官と管財人が来社。はじめはすぐに明け渡して欲しいの一点張りでしたが話しているうち少しは組合の要求に理解を示した様子で改めて話し合いの場が設けられることとなりました。

 地裁で開示された破産申請書類を分析すると負債はあるものの破産せざるをえない緊迫した状況とは言えず、社長が11日に言った「労使問題もあり…」の言葉をふまえると「やけくそ破産だ」との声も出ています。

 27歳から43歳、平均年齢35歳の分会員11人。2月に入籍したばかりの組合員や、小さい子どもを持つ人、3歳から12歳まで4人の子を持つ人…。家族の理解と支えなしに闘えません。一日も早く「普通の生活」に戻るために、分会では裁判中である残業未払を含む労働債権確保と、自主再建に向けて、団結を強めて全力で取り組んで行きますのでご支援ご協力宜しくお願いします。

10.05.07 支援共闘会議第2回総会

 5月7日夜、しばた分会争議支援共闘会議第2回総会が本社ビル4階で開催され、46人が参加しました。
 支援共闘会議は昨年(2009年)7月10日、分会長・書記長解雇や残業代未払裁判が進む中、争議勝利・労使関係正常化をめざすために結成されました。結成から1年を待たずして第2回総会を開催したのは、3月11日の「突然の破産発表」以降の闘いの中で新たな局面を迎え、今後の方針を確認し合うため。

突然の破産から2ヶ月 泊まり込み続け

 3月11日の「会社倒産・全員解雇」当夜から泊まりこみ体制に入ったしばた分会。当初は瀬戸社長に破産を断念させ、いつでも再開できるように、在庫や会社を守ることが目的でした。
 しかし、3月26日に大阪地裁で破産が決定された以降は、「自分たち自身で働く場所をつくり生活を守る」=自主再建をめざすことと、労働債権を確保するための泊まり込みとなりました。破産決定後、破産管財人との話し合いが2度持たれ、在庫や備品の購入、倉庫の賃貸など具体的な話が進みつつあります。また裁判中だった未払残業代を含む労働債権は、破産処理後に一定の配当がなされる目処が立っています。

自主再建すすめるためビル明け渡しへ

 総会では、今後の闘いについて、泊まり込みに労力を割くより、自主再建にむけて力を集中させるため、本社ビルを破産管財人に明け渡すことを確認しました。いつ明け渡すかは5月中旬以降、破産管財人との話し合いで決めていきます。また、自主再建に向けて、在庫商品や備品の購入協力で支援していくことが確認されました。

 支援共闘会議の井上孝朗議長(守口市職労委員長)は「経営状況はそれほど悪くないのにいきなりの破産。それほど組合が嫌だったのか。自主再建は簡単ではないと思うが、労働組合の手で再建していくためにどういう方途があるか皆で論議していきたい」と挨拶。

 梅田章二弁護士は「闘う組合をつぶそうとする典型的な攻撃。しかし組合がつぶれそうにないので自爆した。11人の分会員が再建したいと決意したことを高く評価したい」。楠晋一弁護士は「昨年9月に弁護士になり事務所に入って3日目にしばた争議に誘われた。闘争のフルコースを経験させてもらった。分会はこれからが正念場、弁護団の一員としてがんばりたい」と激励挨拶。
 
 石川尚宜分会長は「破産後、生協など取引先の温かい対応にうれしく思う。3人の解雇以降も組合員への嫌がらせが続いたが、分会員全員で支え合ってきた。最初にネをあげたのは会社。破産で働く場所をなくし不安な日々を過ごしているが全力をあげて再建に向けがんばりたい」と決意表明しました。



















  自主再建に向けて
       社名は「シード」

 
 社長の「今日で会社倒産、私も自己破産」発言から8月2日に至る約4ヶ月半の間、社屋占拠闘争を行っていました。
 泊り込みを続ける中、差し入れやカンパなど、みなさんには大変お世話になりました。この占拠闘争で破産管財人との交渉の糸口が見つかり占拠状態を解除。現在は守口労連事務所の一角をお借りして結集しています。
 未払い残業裁判、3人の解雇裁判など係争中の事柄は管財人に引き継がれ、交渉を重ねています。
 また、新たに事務所を借り(寝屋川市秦町36の8)、社屋にある商品を管財人から買い取り再建への足がかりにしていく予定です。 
 再建内容は、従来の生協さんへの日用品の販売を計画しています。新会社名は「シード」。英語で植物の種という意味で、これから芽を出し大きくなっていくという目標を持って名付けました。
 一刻も早く、しばた分会全組合員の雇用確保ができるよう頑張って行きます。